しかし「この私」が「この私」である、という確信以上に強い確信というものがあるだろうか(それは否定的な方法をとることなどなくしてそういえるのではないか)。
それは「在る」ということにかかわることだろう。あるいは何か「関係性」ということにかかわることだろうか。つまり「この私」が「この私」で「ある」という問題なのか、それとも「この私」が「この私」であるという特殊な「関係性」についての問題なのだろうか。
しかし後者のような問いは結局、そのうしろにやはり「ある」ということがひかえている。関係性はその上に、その前にある問題なのではないか。
そうした、あるとしたらこれ以上に強いもの、確かなものなどないと思われる「この私」というあり方からすべてを始めよう、これを根拠にものごとを考えようという態度は、ではその後それをもとにどう問題を進めるのか。何をそこから導き出そうとするのか。