雪、電線、、重力、毛糸

重たいボタ雪(というのだろうか)が降りだし、浅い夜を白くしている。すごく粘着力のある雪なので、積もった雪はもののかたちをしている。急に、こんなにたくさんの電線が頭上を走っていることに気づく。しばらくあちこちながめていると、その味わい深いたるみ方、交差の仕方にある種のセンスを感じる。とても共感する。私が毛糸を結ぶときのあれだ、と。そして人々の住むこの町の上にはりめぐらされたその膨大なボリュームと労力、その他には圧倒される。これが日本中、世界中にはりめぐらされ、見上げられ、ゆれ、重力の描くカーブでもって流れてゆく。そう、それは重力と風を描いている。私が毛糸を屋外で結ぶのに魅せられるのは、こどもの頃から降り積もった電線と電柱の思い出からなのかもしれない。