ゲルハルト・リヒター

川村記念美術館で先週からはじまった展覧会へ行って来ました(早期割引で1300円が900円に)。
『アトリエ』という雑誌があった頃、その特集で見てびっくりして以来、こんな展覧会が開かれるのをずっと待ち望んでいました。画集も外国語版の高いのしかないしで(それでも"Landscape"をもっています)、今回のお手ごろな展覧会用の図録は(残念ながらものは来ていませんでしたが)、「ルディ叔父さん」や「ベティ」「1977年10月18日」もおさめられており、断然おすすめです。逆に展覧会自体はそうした代表作がもれてしまっていて、多少もの足りなさがのこりますが、これを機に今後開かれていくであろう展覧会に期待したいと思います。
画集ではあまり気づかなかったのは、具象であれ抽象であれ、ガラスであれ、リヒターの作品が透明さ/不透明さを軸につくられているように思えた点で、おそらくあの横にびーっと引きのばすのは、そういうことなのではないかと思いました。言語においてはそれがたとえば明瞭/不明瞭に対応するのでは。特にオイル・オン・フォトは、具象と抽象にまたがって、といった風に評されるリヒターにとって、どんな対象でもこうやって不透明にしていくのがそのスタイルである、ということをもう隠すことも迷うこともなくなって、種明かしのようにみせているもののように思えました。