建物がつくりだす「作品」

ひととおり見終わって、最後にせんだいメディアテークのガラス・ウォールから日の差し込む南面の床に展示されている作品が目に入った。長さ2mばかり、幅2センチあまりの直線の「虹」が、その作品の上に降りていて、これはすごいと感激したのだが、実は「虹」は作品の一部ではなく、ちょうどその前が消防隊進入口になっていて、うまいぐあいにガラスがプリズムの役割をしている一角があり、光のスペクトルを描き出していた。いわばそれはこの建物がその内にもつ機能(虹をつくる機能)であり、どれくらいの間虹が出ているものか観測する時間はなかったけれど、もしそれが見られる時間と場所を正確に把握できれば、たとえば同じこのメディアテーク6Fで開催される「せんだいアートアニュアル」にその位置に白いキャンバスやパネルを置く事を指定し、それを作品として提示すれば、晴れた日のその場所、その時間に見られるメディアテークという建物と太陽のつくりだす「至福の時」を描いた作品として、とてもおもしろいだろうと思われた。とりあえず今日は12時過ぎに見えたけれど、季節が変わり、秋ぐらいになれば太陽の高度もさがるから、虹の見える角度は確保できないかもしれない。
同様にして、ある建物がつくりだす「作品」を見つけ出すこと。それが見えるようにする、ということを「制作」として提示すること。