宮城県・岩出山へ

岩出山・内川

宮城県岩出山へ行く。伊達政宗が、葛西・大崎一揆を煽動したとの嫌疑で豊臣秀吉により米沢から転封させられた地で、観光パンフレットなどには「仙台に居城を移すまでの青年期を過ごし、世界に目を開き、時代を読んだ地」といったぐあいに説明されているのだが、どうだろう。
1691年、岩出山伊達家3代目の伊達敏親が開設した学問所である有備館が見所なのだが、以前ずいぶんゆっくり見学したことがあるので、今日は駐車場だけ有備館にとめ、ここから政宗岩出山城築城の際に城の外堀および農業用水のため、近くの江合川から取水してつくり、現在は「学問の道」として散策路が整備されている内川に沿って歩いた。夏には絵灯ろうをかざる「内川まつり」も行われるという。木造の、目にも楽しい橋を2,3ふくんだ10あまりの橋と遊歩道、そして水量の多い延々約2キロにわたるこの青い流れのすべてに毛糸の橋をかけたらどうだろう(以前、毛糸の橋ということで他の場所でいわば「素描的」やってみた例はここここ)。また、橋だけでなく、町の人、たとえば小中学生に手伝ってもらい、橋の上から毛糸を流れに流すことで川の流れを毛糸で表わす「毛糸の川」など(以前の例はここここ)はどうだろう。とにかく、そんなのうそでしょう? というものをつくりたい。それも、うそみたいと言いながら参加する人たちといっしょに。
かなり歩いて有備館近くまで戻ると、駅がたいへんモダンになっていて(こちら)びっくり。しかしすばらしいつくりなのだが、休憩所も情報センターもとりあえず何もかも閉鎖されていて、外からは中のようすが見えるのに入ることもできず、いったい何のために立派なのかわからない。駅も無人駅で、まだ5時前だというのに辺りには誰ひとりおらず、人間が死に絶えた後に立派な施設だけ残っている近未来、のような幻想をいだかせる。
名物の酒まんじゅうを買った後、感覚ミュージアムへ。ここも一度入ったことがあるので(展示は変わらない)、周辺を見たり、美術館入口の売店やカフェなどを見る。カフェの壁には岩出山の小学生がワークショップで使い捨てカメラで撮った四季おりおりの写真「岩出山百景」が展示されていて、それらもおさめられている「いわでやまこども写真館」(200円、2005年3月刊)というミニ写真集があったので買う。こうした素地があるのはおもしろい。ちょうど使い捨てカメラを子供たちにわたして、複数の視点からひとつの風景、具体的に言うとたとえば私の今度やろうと思っている雲の作品(こちら)を入れた風景などを撮影してもらう、という企画にうってつけである。ちょうど感覚ミュージアムのある川原がバルーン・フェスティバルの会場でもあるようなので、いっしょに雲もあげられたらおもしろいだろう。そして小さな雲をもった子どもたちが、なんともいい感じに古びた町のあちこちへ出没して、それを互いに撮影する。どうだろう。