HAIR MAKE C’sでの展示

その後夕方から「HAIR MAKE C's」へ。3Fの美容院フロアー全域を使った毛糸のインスタレーション展示を行う。これまで主に野外で行ってきたので(こちら)、最初天井付近に毛糸を結んでいくと、それまで背景としてほとんど存在感のなかった天井がやけに重苦しく感じられ始め、圧迫感があるのが気になった。そこで交差させていた毛糸を基本的には平行に配置することですっきりさせ、フロアーの北西から南東方向に流れる動きをシンプルに強調することにした。ただ、高さが一定で、アップダウンがないため、やはり野外でやるようになイメージにはほど遠い。そんなわけで満足のいく作品に自分では思えなかったのだろう、すこし自信がなく、本当にこれでいいのだろうかという気分で店を後にする。
美容院のオーナー店長はしかしそうしたアートの展示に場所を開放しているのでわかるとおり、アートにたいへん理解のある人で、今は月に一度、講師にタノタイガ氏を招いて、閉店後の美容院でスタッフにアート指導をしてもらっている。今日はちょうどその日に当たっていて、私が毛糸を結んでいるそばで、店長をはじめスタッフ10数人がもくもくと木彫に取り組んでいた。
店内に毛糸をはりめぐらせる。そうしたプランを出した私とそれを受け入れた美容院。それが、いい作品であるかどうかは、いったいどうやって「決まる」のだろう。私が、あるいは何人かが(たとえば「わかる人」が)、「いい」と思えばいいのだ、とかそういう風には考えられない。考えられないというよりも直感できない。つまりそれは端的に言ってつまらない作品ということなのかもしれない。あるいはわらをもすがるような思いで言うならば、それがよい作品に「なる」こともあるのではないだろうか。そうした「期待」を待つほどに、今の私はとても自信がない。